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大地より愛を込めて



こんにちは。Farm Harmonia(ファーム・ハーモニア)のあきこです。 

3月、ここ静岡県富士宮市では、トマトやナス、ピーマンといったナス科の夏野菜の種まきを始める頃です。

仲間の有機農家たちも、ビニールハウス内で踏み込み温床(有機物の発酵熱を利用して、発芽に高温が必要な夏野菜を寒いうちから種まきできるようにするためのもの)を利用して種まきを始めています。

(写真はセルトレイにまかれたトマト)

標高約600メートルに位置するハーモニアは、というと、夏野菜の種をまけるようになるのはまだまだ先の話です。去年から踏み込み温床とセルトレイ育苗をやめ、より自然だけれども難易度は恐ろしく高い「外の苗床での育苗」に切り替えたので、気温と地温が上がるのをじっくりと待つのです。

苗床にする場所の草を刈り、宿根草の根っこを切り場所を整えてから種をまいていきますから、手間のかかる作業です。その手間を手間と思わず楽しんでできるようになると達人クラス入りです。

(写真はお米の苗代作り)

ということで、ナス科の種をまけるようになるのは1ヶ月以上先の話ですが、春菊や小松菜、春まきの絹さやえんどうなど、発芽に高温を必要としない野菜はもう種まきを始めています。家で種の選別をしていると、無性に「種まきたい!」となります。春だからですね〜。

さて、話は変わりますが、先日農場主のかずちゃんが印象的なことを言っていました。

「人は常に何かをしようとするけど、何もしないことによって得られるものの方が大きいと僕は思う」

それを聞いてドキッとしました。なぜなら、かずちゃんはそういうことを言う人ではなかったからです。

富士宮に移住する前は、東京で設計デザインの仕事をしていて、以前1人で住んでいたマンションにはブランド物のマウンテンバイクが2台もあって、人工の岩の上に前輪を乗せて、上からはスポットライトをあててオシャレに暮らす、そんな都会での便利でお金で全てを解決する生活を満喫していたからなんです。

「何かをしようとして自分に負荷をかけるより、畑でブンブン(11kgもある生後4ヶ月の子犬)とただいる方が沢山の気付きがある」

そんな風に話すかずちゃん。それって春からまた新しいことを学ぼうとしている私を批判しているのか?と一瞬ムッとしたのですが、その直後、あぁそうかも知れないなぁ、と思いました。もしかしたら、畑でブンブンと時を過ごすこと、それ自体が瞑想になっているのかも知れない、と。

最近のかずちゃんのエピソードをもう1つご紹介しましょう。
ふと独り言のように、「宇宙のことを話す前に土のことを話そうよ」と言ったのです。

私も、フワフワしたスピリチュアリズムには違和感を感じるので、この発言は「そうだよね」なのですが、かずちゃんはグラウンディングという言葉もチャクラのこともエネルギーのことも何一つ知りません。

そのかずちゃんからこういう発言が出てくるって、すごいことだと思いませんか?
ひっそりとした環境にある畑でいつも1人で畑と向き合っている間に、どれだけの変化を遂げたのだろうこの人は、と本当に驚きます。

こんな普通のオジサンなんですけどねぇ。

東京時代とはまるで別人のかずちゃん。彼をここまで変えたものは何でしょうか?

富士宮に移住するきっかけを作ったのは私ですが、移住して就農してからのかずちゃんを変えたのは間違いなく大地だと思います。

「自然」というよりも「大地」、更にかずちゃんの言葉を借りるなら「土」。

かずちゃんをここまで変えた畑に人を招きたい、という思いが更に強くなるのを感じました。

今年から本格的に自然農のワークショップを実施する予定で、そろそろ日程をお知らせする時期ではあったのですが、夜中に突然、「これを伝えたい、畑に来てもらってそれぞれの気づきを持ち帰ってもらいたい」と思ったのです。折しも魚座の新月の直後でした。

不思議なかずちゃんが紡ぎ出す不思議な世界。

それは農法やテクニックの伝授ではなく、何かより深淵な新しい大地とのつながりになることでしょう。そして、土を知ることで逆に宇宙を知る、もしかしたらそんな機会にもなるのかも知れません。

近日中にハーモニアのブログでワークショップ情報をお知らせします。興味のある方はぜひ富士宮まで足をお運びください。

決まったら教えて欲しいという方は、あらかじめメールを送っていただくと、アナウンス前にメールで情報をお届けします。

(今回は私たちの移住や就農のきっかけについてお話する予定でしたが、今、より強く感じるものを書くことにしました。)      

Farm Harmonia
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