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新入りがやってきた農場。畑は冬景色に



こんにちは。Farm Harmonia(ファーム・ハーモニア)のあきこです。 

我が家に新入りがやってきました。

研修生のブー(黒のラブラドール)は10月に天に帰りました。この子はブーが帰った5日後の満月の日に生まれた子なのですが、縁あってうちにやってきました。まだ生後2ヶ月、春になったら農場デビューです。

畑はすっかり冬景色に変わりました。今シーズンの野菜の出荷もいよいよ年末で終わります。標高600mに位置する農場は、富士山の伏流水の清流が隣を流れる谷地にある、という立地のため、厳寒期にはマイナス10度近くまで気温が下がります。地面も凍り付いてしまうため、春が来るまで外での作業はお休みになるのです。

11月末、2度目の霜が降りたことでその一生を終えたナス、トマト、ピーマンなどのナス科たち。日本では1年草とされるこれらナス科の野菜たちは、原産地の熱帯地方では多年草なのです。種をまかなくても翌年実りが得られるというのは理想的ですね。

ナス科の野菜の生態を考えると、日本で無理をしてナスなどを作らなくてもいいのかな、という気分にもなってきます。ナス科のみんなが生を終える直前に、農場主のかずちゃんと一緒にさよならの挨拶をするのですが、それが非常に切ないのです。

豆やお米など、種をつけることでその役割を果たして枯れていく野菜たちは生を全うしていきますよね。でも、ナス科たちは寒さに耐えきれなくなってその生を終えるのです。直前まで花を咲かせていますしね。生を全うした感がないのが切なく感じるところなのです。

「今はまだ花が咲いていてみんな生きているけど、明日の強い霜できっとお別れだね、今までありがとう。」こんな挨拶をします。書いていてもやっぱり切ない。
とは言うものの、食べたい欲の方が勝りますから(笑)、毎年数ミリの種をまいて育てる私たちです。

夏の畑の賑わいに比べ、冬の畑は静寂に満ちています。

夏草のエノコログサ(ネコジャラシ)などの大群が枯れてその身を横たえた姿はまるで薄茶色の草の海のようです。

少し前までは、バッタやカマキリなども力無さげにゆっくりと歩いていましたが、もう姿を消しました。たくさんいたアマガエルたちも冬眠したようです。

夏の野菜や草たち、虫たちが生を終え層になったその下には、冬眠中のアマガエルたちや冬越しの虫たちが身を潜めています。また、冬草たちは低い姿勢を保ちながら青々と育っています。静寂の中にもしっかりと命を感じます。

巡る季節、季節ごとの静と動の感覚、いのちの営み。

これらを非常に強く感じるのも、この農場が耕さずに、虫も草も敵としない自然農法の畑だからでしょう。4反という広さを完全不耕起に切り替えてから、これらの感覚は更により強く感じられるようになりました。 

自然農法でよかった。たくさんの大切なことをあの特別な場が教えてくれます。

ふと、自分たちがどうして自然農法をやることになったのか、東京で会社員をしていた自分たちがどうして富士宮に移住をし、そして農家になったのか、そのあたりを振り返ってみたくなりました。

次回から、ハーモニアがどのようにして誕生したのかを綴っていきたいと思います。よろしければお付き合いください。